2010年04月20日
長崎平戸/映画「幸橋」:原作(2)
~幸橋(2)~
窓の外に海鳥や漁船が見えるリビング。
七海と夫の邦夫が朝食をとっている。
七海はたまに邦夫を見るが、邦夫は全く気にかけようともせず
黙々と会話もなく重い空気が流れている。
暫くして邦夫がテーブルの上の醤油を取ろうとするが、いつも
の場所になく醤油瓶を取れない。手を左右に動かし醤油を探す
邦夫。やがてイライラしながらテーブルを乱暴に叩く。
「おい!醤油は!」
「あ~、ごめんごめん」
七海は邦夫の罵倒にもめげず、明るく振舞いながらキッチンへ
醤油を取りにいく。邦夫はそんな七海に向かって更に罵倒する。
「いつもの場所に置いとけよ!いつもの場所に」
「は~い」
七海はキッチンから明るい声で返事をする。
七海は、邦夫からいくらキツイ言葉を浴びても邦夫の前では常に
明るく振舞うようにしている。そんな七海に邦夫は容赦なく理不尽
な言葉を浴びせる。
「自由に動けてよかね!お前は!」
「はい、醤油。」
キッチンから戻った七海は、邦夫の手に醤油瓶を握らせる。
しかし、邦夫は七海の手を思いっきり振り払ってしまい、その拍子
に醤油瓶は吹き飛び床に転がってしまう。
床はあっという間に醤油が広がり、黒く染まってしまう。
「メシはもうよか!」
邦夫は激しく立ち上がり、手探りでリビングを出て行ってしまう。
途中、何度か躓きそうになる邦夫を心配して七海は手を差し伸べる
が、邦夫はそれを振り払いおぼつかない足取りで自分の部屋へ戻っ
ていく。そんな邦夫に言葉をかけられない七海。
普段、七海は無理して明るく振舞ってはいるが、邦夫の態度にやる
せない表情を見せる。
床に広がった醤油を辛そうに拭く七海。
~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~
邦夫は部屋にこもり、額に入っている写真を触って何かを感じよう
としている。
その写真は、二人が高校のときに邦夫が撮った七海の笑顔。
そこへ、七海がドアをノックしてくる。
「邦夫?」
「・・・。」(全く返事をしない邦夫)
「・・・会社行ってくるね。」
「・・・。」
「・・・じゃぁね。」
暫く返事を待つが邦夫からの返事はなく、七海は空しそうに部屋を後
にする。邦夫は、触っていた写真を思いっきりドアの方へ投げる。
写真は勢いよくドアにぶつかり、額のガラスが床に飛び散る。
「くそ!」
邦夫はそういって床に仰向けになってしまう。
割れたガラスの中に、高校時代の七海が笑っている。
>次回につづく
「サポーター募集」映画製作にご協力をお願いします。
映画「幸橋」公式ホームページ
http://saiwaibashi-movie.com
映画「幸橋」を企画した、「どらまか企画」のホームページです。
http://doramaka-kikaku.com
にほんブログ村
にほんブログ村
にほんブログ村
http://ping.blogmura.com/xmlrpc/wla83eid3d7j
窓の外に海鳥や漁船が見えるリビング。
七海と夫の邦夫が朝食をとっている。
七海はたまに邦夫を見るが、邦夫は全く気にかけようともせず
黙々と会話もなく重い空気が流れている。
暫くして邦夫がテーブルの上の醤油を取ろうとするが、いつも
の場所になく醤油瓶を取れない。手を左右に動かし醤油を探す
邦夫。やがてイライラしながらテーブルを乱暴に叩く。
「おい!醤油は!」
「あ~、ごめんごめん」
七海は邦夫の罵倒にもめげず、明るく振舞いながらキッチンへ
醤油を取りにいく。邦夫はそんな七海に向かって更に罵倒する。
「いつもの場所に置いとけよ!いつもの場所に」
「は~い」
七海はキッチンから明るい声で返事をする。
七海は、邦夫からいくらキツイ言葉を浴びても邦夫の前では常に
明るく振舞うようにしている。そんな七海に邦夫は容赦なく理不尽
な言葉を浴びせる。
「自由に動けてよかね!お前は!」
「はい、醤油。」
キッチンから戻った七海は、邦夫の手に醤油瓶を握らせる。
しかし、邦夫は七海の手を思いっきり振り払ってしまい、その拍子
に醤油瓶は吹き飛び床に転がってしまう。
床はあっという間に醤油が広がり、黒く染まってしまう。
「メシはもうよか!」
邦夫は激しく立ち上がり、手探りでリビングを出て行ってしまう。
途中、何度か躓きそうになる邦夫を心配して七海は手を差し伸べる
が、邦夫はそれを振り払いおぼつかない足取りで自分の部屋へ戻っ
ていく。そんな邦夫に言葉をかけられない七海。
普段、七海は無理して明るく振舞ってはいるが、邦夫の態度にやる
せない表情を見せる。
床に広がった醤油を辛そうに拭く七海。
~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~
邦夫は部屋にこもり、額に入っている写真を触って何かを感じよう
としている。
その写真は、二人が高校のときに邦夫が撮った七海の笑顔。
そこへ、七海がドアをノックしてくる。
「邦夫?」
「・・・。」(全く返事をしない邦夫)
「・・・会社行ってくるね。」
「・・・。」
「・・・じゃぁね。」
暫く返事を待つが邦夫からの返事はなく、七海は空しそうに部屋を後
にする。邦夫は、触っていた写真を思いっきりドアの方へ投げる。
写真は勢いよくドアにぶつかり、額のガラスが床に飛び散る。
「くそ!」
邦夫はそういって床に仰向けになってしまう。
割れたガラスの中に、高校時代の七海が笑っている。
>次回につづく
「サポーター募集」映画製作にご協力をお願いします。
映画「幸橋」公式ホームページ
http://saiwaibashi-movie.com
映画「幸橋」を企画した、「どらまか企画」のホームページです。
http://doramaka-kikaku.com
にほんブログ村
にほんブログ村
にほんブログ村
http://ping.blogmura.com/xmlrpc/wla83eid3d7j
長崎平戸/映画「幸橋」:感動の歌声「弓削田健介氏」
長崎平戸/映画「幸橋」:長崎から全国へ
長崎平戸/映画「幸橋」:~ふしぎな縁~
長崎平戸/映画「幸橋」:~地方発信型映画~
長崎平戸/映画「幸橋」:ハッピーエンド
長崎平戸/映画「幸橋」:風と音の詩
長崎平戸/映画「幸橋」:長崎から全国へ
長崎平戸/映画「幸橋」:~ふしぎな縁~
長崎平戸/映画「幸橋」:~地方発信型映画~
長崎平戸/映画「幸橋」:ハッピーエンド
長崎平戸/映画「幸橋」:風と音の詩
Posted by 幸(さいわいばし)橋 at 19:20│Comments(0)
│映画